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おもに少年愛と小説に関する雑記。エッセイとコラム
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子ども部屋1
 最後の煙草をもみ消して立ち上がり背伸びして、戸外で雨足の強まっているのに気づいた。梅雨明けはまだ遠い。雷までついてきたようだ。おかげでドアーチャイムがうるさく鳴いているのにも、だいぶ気づくのが遅れたらしい。
 常時起動PCのネットカメラ窓をのぞいた。新聞屋ではない。顔はよく覚えていないが、たぶん初めて見るのではない少年だ。一人だ。ドアを開けることにする。
 「いた!ラッキー、助かったわもう…」
 つまりは濡れ鼠の少年が、目の前にいる。十歳の小五ってところか。かなり色が白く、濡れて額にはりついた髪も、やや栗色がかってみえた。
 濡れて、また紅潮した頬を見れば、冷蔵庫で水滴をはじくみずみずしい桃のようで、この肌の美しさは、あると意味幼児のようでさえある。
 見立て通りの小五として、かなり小柄な部類。合羽がわりのウィンドブレーカーの上からでは、体格はよくわからないが、極端に痩せても太ってもいない。頬の輪郭からも、それはだいたい読み取れる。
 肌の美しさをのぞけば、とりたてて言うべきところもない、十人並というところか。
 それにしても、彼が彼の言うように幸運にも助かったのかどうかは、何とも言えないところだ。

※この文章は日記ではなく小説試案であり、フィクションです。

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