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おもに少年愛と小説に関する雑記。エッセイとコラム
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少年の街 金と昌巳2
 「痛い言うとるやないかこのヤブ医者!」
 昌巳の雨に湿ったシャツの下はむき出しの裸で、苦痛にもがきながら悪態をつき続けていた。
 「膿が皮の内側に思いきり溜まってんだよ。これを切り落とすはめになってもいいのか?」
 金は消毒綿越しに、昌巳の、包皮をめくりあげた幼い性器をいじわるくぎゅっとつまんだ。
 「痛い……。わかったから早よして……」
 昌巳の声が大人しくなった。
 (ふ……ちょっとびびったらしいな。この手のでたらめは医者の特権だ)
 下半身の消毒を終えて、金は昌巳の細い足に半ズボンを通した。
 「さて」
 続いて金は、昌巳の手首に点滴の針を手際よく打ち込むと、輸液速度をちらりと確認し、診療台の横にパイプ椅子を寄せて腰掛け、昌巳の顔をのぞきこんでにっと笑いかけた。
 「寝てていいぜ。腹減ってるかも知れんが、点滴終わってからでいいだろ」
 昌巳はそれには返事しなかった。
 「……どうするつもりや?」
 昌巳は天井を見つめ、金の顔は見ない。
 「あ? ……うーん。血液検査の結果待ちだが、まず間違いなく梅だな。抗生物質の連続投与。大概一ヶ月もかからずきれいに治るよ」
 「そういうことやのうて」
 今度は、昌巳は射るような眼差しで金の顔を見た。苛立ったような口調だった。
 「ん?」
 「俺金持ってない。治療代なんか一銭も払えへんで」
 昌巳の声には悪態をついている時のような元気はなかった。
 「何だそんなことか」
 金のとぼけた口調に、昌巳はちょっと首を持ち上げて次の言葉を待った。
「きれいさっぱり治ったら、このからだで払ってもらうさ」
 一瞬の沈黙があり、昌巳の頬にさっとかすかに朱が差し、続いて眉間にしわが寄った。
 「……お前……絶対ビョーキ感染(うつ)したるからな」
 金は思わず吹き出し応じた。
 「カカカ、その時は甘んじて感染されてやろう。俺の腕が悪かった報いだからな」
 昌巳はもう憎まれ口を返すことはせず、そのかわり顔を金の反対側、診察室のドア側に向けて、金には表情を見せなかった。

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コメント
この記事へのコメント
無題
 なんといいますか……。子ども部屋とはまたかなり違う雰囲気ですね。子ども部屋が明るい感じがあるのに、こっちはどす黒いといいますか。子供の純粋さも全然違いますし。
 ただ、個人的には子ども部屋の方がハードといいますか、怪しい雰囲気を感じてしまうのは、僕がひねくれてるからでしょうか。^^;

 違う雰囲気のを同時で書いていくのは、大変だと思うのですが、どちらも楽しみにしてますので、がんばってください。ただ、体にもお気をつけて……
2007/01/17(水) 16:24:43 | | 廉 #1e34a7d160[ 編集]
廉さま
お察しの通りで、少年の街の方がずっとダークですw もうちょっと話が進むとはっきりしますよ。
2007/01/18(木) 08:08:13 | | とりさん #9b11f484d2[ 編集]
追伸
まちがいました。子ども部屋の方が、でした
2007/01/18(木) 08:12:01 | | とりさん #9b11f484e4[ 編集]
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