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おもに少年愛と小説に関する雑記。エッセイとコラム
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少年の街 金と昌巳5
 昌巳はそう長くトイレでがんばっていたわけではないが、金は待つ間、昌巳の寝ていた、へこんだ敷き布団の四隅を直したり、昌巳の半ズボンを手に取ってみたり、落ち着かなかった。半ズボンは、寝かせるときゴワつくので穿かせないでいたのだ。その半ズボンのヒップポケットから、何か小さなものが畳の上に落ちた。
 「あっと」
 それは小さなメモ帳で、上部をスプリング状の針金で綴じたものだ。ベージュの表紙は、下の角が両方とも雨水が染みて変色し、中の紙と一緒に上に反り上がっていた。少し気が咎めたが、金はページをめくる。
 意外なほど几帳面な小さな文字で、人の名前と、電話番号らしい数字、何の目印もない四桁や五桁の数字が整理されず並んでいた。名前は、「井上」とか簡単な部分が漢字で、大部分はカタカナだった。記号のようだ。人名は記号。電話番号は大半が携帯かIPフォーンだ。目印のない数字は、桁数から考えて金額だろう。これは業務手帳のようなものだ。その業務は、少なくともこの数日はあがったりだったはずだ。脱げば病気が明らかである。目に見える症状が出る前でも、顔色や空気から、客が好んで買うとは思えない。メモ帳の入っていたポケットにはちびた鉛筆が一本。前のポケットには小銭。それ以外何もなかった。
 「すんだ。……先生!? 先生!」
 金が昌巳の声に気づき、我に返ったのは、三度目に呼ばれてからだった。
 「おお、すまんすまん」
 金は必要以上に大きな声で返事し、メモ帳をヒップポケットに戻し、その半ズボンを布団の足下に置いてから、トイレのドアノブを回した。
 「もう」
 「ちゃんとケツ拭いたか?」
 昌巳が何か言う前に、金は彼の体を抱え上げ、布団に寝かせた。
 掛け布団を昌巳のからだにそっとかける金を見上げる彼の目は、いつになく穏やかだった。
 「なあ先生」
 「ん?」
 「腹減った」
 金は笑った。
 「出すもの出したら、空きがでたな。いい傾向だ。ちょっと待ってな」

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コメント
この記事へのコメント
無題
あーん
続きをーw

すみません。無理はしないで、よろしくお願いします。
2007/01/22(月) 20:22:24 | | ヘク太 #990ea13ea1[ 編集]
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