忍者ブログ
おもに少年愛と小説に関する雑記。エッセイとコラム
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

絵の巧拙
 またそんな話題です。
 うまくなると失われるもの、っていうことでは、技巧的に大変素晴らしいものを持っている人は、何でもできる、ということが罠になる、という場合があります。
 商業的なプロにとっては、まず売れることが肝要です。「え? そういうの売れるの? じゃあやってみるかな」で、見事なまでに売れ線のデザインを仕上げる人は、得意先にとっても大変重宝で、こういう人は必ず生き残れます。しかし一方で、これがこの人の絵柄だ、この人の画期的な仕事はこれだ、みたいなものは何一つ残せず、周囲の思惑と違って本人はけっこう自己嫌悪だったり、というのは実際にあることです。一種の器用貧乏ですね。しかし商業においては、この人は明らかに成功者です。
 でも同人においてはどうでしょうか。器用すぎることや、中途半端にお金を手にできたことが罠になり、あら昔の方がよかったねあの人、と囁かれながら、本人もどこかで、満ち足りなさを覚えていたり……。同人を始める動機が、もしより売れること、有名になることあたりにあるのであれば、矛盾はしませんが、己の萌えの追求がスタートだったのに、となると、膨大なエネルギーを費やして、何をしてたのかしら、となりそうです。結果的に食えるほどの金になれば、それでも結果オーライでしょうし、女のエロの方では、けっこういらっしゃるようですが……。まあ、全く相手にされないよりはいいんでしょうけどね。でもこういうサイトやっていますと、驚くほど細かい、そんな嗜好があるのかと思える世界に、少ないとはいえ人が集まって、楽しくやっているのを散見しますし、そういうのええなと思いますけどね。

 話が少し変わりますが、プロでも、商業デザインよりももっと間口の狭い「画家」、芸術家の世界では、現在非常に有名であっても、リアルタイムではほとんど評価されなかった人が、むしろ多数派です。
 声望と才能を兼ね備えた幸福な画家と言えば、やはりピカソですね。相当な年月富と声望をほしいままにし、また生み出した作品も素晴らしく、技巧的にも優れた、まさに天才でした。じじいになってから十八歳の嫁さんもらったとか、全く幸せな男です。
 一方ゴッホは、当世とくに日本人の評価が極めて高い画家で、僕も大好きですが、生涯で売れた絵はたったの一枚。生活に窮して八百屋に俺の絵と品物を交換しろともちかけたのに、すげなく断られたというみじめな逸話も残っています。精神的にもだいぶやばかったらしく、痴話げんかめいた争いの末、酒場にいたゴーギャンに自分の耳を切り取って叩きつけたとか。

拍手[0回]

 いくら才能があっても、ゴッホみたいな生涯送るくらいなら、器用貧乏がいいですね。もっともその器用さもぜんぜんないわけですが(笑)

 まあなんせ、よれない線を引くだけで四苦八苦してる自分が、生きてる間に個性を失うほど「うまく」なるはずもないので、いずれもとりあえず、自分には関係のない話なんですが、美術に取り組む一般論としてちょっと、まとめてみました。
PR
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Comment:
Pass:
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック