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おもに少年愛と小説に関する雑記。エッセイとコラム
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泣かせる話
 先日「白夜行」というドラマの第一話を録画したものを、友人に送ってもらった。本好きな方で、直木賞がどうの芥川賞がどうのという話をしていた流れでだ。俺の方は未読だというので、「蛇にピアス」をお勧めした。いわゆる筆力の確かさとしっかりした構成力という基盤の上に、新味のある題材が独特の切り口で描かれており、その切り口が俺の趣味に合った。また、結末の切れ味もよい。友人にも気に入ってもらえたようだ。

 で、白夜行だが、主人公の少年時代を泉澤裕樹という子役が演じている。11歳という設定で、それ相応に見える子で、ちょっと目がきついが丸顔で普通の男の子らしさがいい。不幸のオンパレードで、うつむく顔、泣き顔、絶望、と露出はランニングシャツ程度だが少年のフェロモン十分だ。
 で、実はドラマ終盤で俺はボロボロ涙こぼして泣いてしまったのだ。久しぶりのことだ。

 だいたいにおいて日本人は、「泣ける話」が好きだ。しかしこれが安っぽいと俺は耐えられない。「セカチュー」だとか、見てないけど見るまでもないと思っている。粗製濫造でバカな有閑主婦相手の昼メロも似たり寄ったりで、むしろ間違ってw見てしまうと腹が立つ。

 涙ボロボロ、ってくらい泣いた映画と言えば、「レオン」だ。あれは俺のナンバーワンに好きな映画だ。いつかマチルダを少年に置き換えて小説にしたいと思うくらい。「大地に根を張って暮らしたい。愛しているよマチルダ」というレオンの言葉と、レオンが愛した鉢植えを、「根を張れる」よう花壇に植えるマチルダ、そしてシェイプ・オブ・マイハート。見事だ。
 本では「アルジャーノンに花束を」だ。知的能力を失った主人公が、ねずみの墓に花束を捧げ、恍惚の天国へと帰って行く。夜中にベッドで読了して涙が止まらなかった。

 安手のメロドラマと感動的なドラマの差は、微妙なディテイルに過ぎず、だがそれこそが肝心だ。ドラマで子役がヘタだったらそれまで、シナリオの人物造型が甘かったらそれまで。逆に、一曲のBGMの選曲が、あふれる感動の決め手となる場合もある。

 日本の消費者は甘く、きちんとよいものを見抜ける人間は極少数だ。だからクリエイターもわりきって、金になればいいやと、音楽の例でいけば「川の流れのように」や「あの鐘を鳴らすのはあなた」などの駄曲を作って「こんなんでいいんでしょ」と垂れ流して、大きな金が動くわけだ。

 それでも、クリエイティブな仕事で食えればいいな、とやっぱり俺は思うけど。

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コメント
この記事へのコメント
ご無沙汰してますね
「白夜行」といい、「LEON」といい、「アルジャーノン」といい…。
私も涙したものばかりです。

この3作を超える作品を知りません。
「LEON」のマチルダ少年バージョンですか。良いかもしれませんね。
2006/08/29(火) 22:13:15 | | しんべぇ #9915c8d85a[ 編集]
お久しです^^
 コメントどもですー^^
 いやあ、同じように感じてくださっている方がいてうれしいです。そのうちまた、チャットでもつきあってやってくださいね。
2006/08/30(水) 00:25:06 | | とりさん #56af335549[ 編集]
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